「屋根のカバー工法にはどのくらいの費用がかかるの?」
「カバー工法と葺き替え工事では、費用にどれほど差があるの?」
屋根の劣化が気になり始めたとき、真っ先に気になるのが修理にかかる費用面ではないでしょうか。
屋根のリフォームにはさまざまな選択肢がありますが、その中でも既存の屋根を撤去せずに施工する「屋根カバー工法」は、コストを抑えた工事として人気の高い方法のひとつです。
しかし、実際の費用は、使用する屋根材の種類や施工業者の選び方、建物の形状などによって大きく変動します。
そこで本記事では「屋根カバー工法の費用相場」「価格に影響を与えるポイント」「カバー工法を選ぶメリット・デメリット」などについてわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、自宅の屋根リフォームにかかる費用の目安が把握でき、最適な施工方法を選ぶための手助けになるでしょう。
これから屋根リフォームを検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
屋根カバー工法の費用相場は80万〜150万円

屋根カバー工法の費用相場は、おおよそ80万〜150万円が目安となります。
ただし、これはあくまでも標準的な30坪程度の住宅を想定した場合の目安であり、実際の費用はさまざまな要因によって大きく変動します。
費用に大きく影響を与える代表的な要素としては、以下の4つが挙げられます。
- 使用する屋根材
- 屋根を張る工事方法
- 屋根リフォームを依頼する会社
- 建物の形状と周囲の環境
そのため、適正価格で施工を依頼するためには、現地調査を受けたうえで複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
価格だけでなく、工事内容や保証内容も比較検討し、信頼できる業者を見極めましょう。
屋根カバー工法と葺き替えとの費用を比較

屋根のリフォーム方法には、主に「カバー工法」と「葺き替え工事」の2種類があります。
ここでは、両者の特徴と費用を比較してみましょう。
工法 | カバー工法 | 葺き替え工事 |
---|---|---|
費用相場 | 約80万〜150万円 | 約120万〜190万円 |
工事内容 | 既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる | 既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する |
特徴 | 工期が短く、廃材も少ないためコストを抑えられる | 費用と工期はかかるが、全体を根本的に修繕できる |
屋根のカバー工法と葺き替え工事を比較すると、一般的には「カバー工法」のほうが費用を抑えやすい傾向にあります。というのも、カバー工法が既存の屋根材を撤去せず、上から新しい屋根材を重ねる工事方法であるためです。
「廃材処分費」や撤去作業にかかる「人件費」が不要になるため、全体的なコストを低く抑えられます。
一方、葺き替え工事は、既存の屋根材をすべて撤去します。屋根の状態によっては下地の補修や交換まで行うため、どうしても費用は高くなりがちです。
ただしその分、屋根全体を新しくできるため、耐久性が高まり、将来的なメンテナンス費用を抑えられる可能性があります。
したがって、短期的なコストを重視する場合は「カバー工法」、長期的な安心や耐久力を求める場合は「葺き替え工事」といったように、目的や屋根の状態に応じて最適な工法を選ぶとよいでしょう。
屋根カバー工法の費用が変動する4つのポイント

屋根カバー工法は、工事内容が比較的シンプルで費用を抑えやすいのですが、実際の見積もり金額は住宅ごとで大きく異なります。
ここでは、屋根カバー工法の費用に影響を与える4つのポイントを詳しく解説します。
- 使用する屋根材
- 屋根を張る工事方法
- 屋根リフォームを依頼する会社
- 建物の形状と周囲の環境
使用する屋根材
屋根カバー工法で使用する屋根材にはさまざまな種類があり、どの屋根材を使用するかによって全体の費用が大きく変わります。
以下は、一般的なカバー工法でよく使われる代表的な屋根材です。
屋根材 | 平米単価(目安) | 特徴 |
---|---|---|
ガルバリウム鋼板 | 約5,000〜10,000円 | コストと性能のバランスが良く最も普及している素材 |
ジンカリウム鋼板 | 約8,000〜15,000円 | ガルバリウム鋼板に天然石をコーティングした素材 |
アスファルトシングル | 約5,000〜9,000円 | 柔軟性があり複雑な形状にも対応しやすい素材 |
屋根材の選定は、初期費用以外にも、耐用年数や将来のメンテナンスコストにも大きく影響する重要なポイントです。
そのため「とにかく安く済ませたい」という短期的な視点ではなく、住宅の状態や今後のライフプランに合わせて総合的に判断することが大切です。
信頼できる業者と相談しながら、予算と目的に合った最適な屋根材を選びましょう。
屋根を張る工事方法
屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事方法です。
そのため、屋根の勾配(傾斜)や劣化状況などによって工事内容や施工方法が変わり、それにともなって費用も大きく変動します。
特に以下のようなケースでは、どうしても費用が高くなる傾向にあります。
条件 | 影響 |
---|---|
屋根の勾配(傾斜)が急な場合 | 足場の設置や安全対策が必要になり、作業時間や人件費が増加します。 |
既存の屋根材が著しく劣化している場合 | 防水シートや下地材の補修・交換など、追加工事が発生する可能性があります。 |
オプション工事を追加する場合 | 雪止め金具の設置、換気棟の取り付けなどの追加の工事費用が必要になります。 |
このように、屋根の状態や施工の難易度などによって費用は大きく変わるため「一律にいくらかかる」とは言い切れないのが実情です。
したがって、まずは信頼できる施工業者に現地調査を依頼し、自宅の屋根に最適な工事内容と見積もりを確認することが重要です。
屋根リフォームを依頼する会社
屋根カバー工法を検討する際は、どの会社に依頼するかも非常に重要なポイントです。
実は、同じような工事内容であっても、依頼する会社によって費用に大きな差が生じることがあります。
以下は、代表的な依頼先の特徴を比較したものです。
依頼する会社 | 特徴 |
---|---|
地域密着型の中小工務店 | 広告費や外注コストが抑えられる分、比較的リーズナブルな価格で工事を請け負ってくれるケースが多くあります。 |
大手のリフォーム会社 | ブランド力に安心感はありますが、実際の施工は下請け業者に委託されている場合が多いです。その中間マージンや営業コストが見積もりに上乗せされ、費用が高くなる傾向があります。 |
このように、屋根のリフォームは依頼する会社によってもコストが大きく変動します。
とはいえ、必ずしも「中小工務店=コストパフォーマンスが良い」「大手企業=費用は高いけど安心」と単純に区別できるわけではありません。
中小工務店でも、保証サービスやアフターサポートが充実しているところはありますし、大手企業でも、適正価格で丁寧なサービスを提供しているところもあります。
そのため、会社選びでは1社に絞るのではなく、複数社から相見積もりを取ることが大切です。施工内容や対応の丁寧さなども比較したうえで、総合的に判断しましょう。
建物の形状と周囲の環境
屋根カバー工法の費用は、建物の形状や立地環境によっても大きく左右されます。
たとえば、以下のようなケースでは追加の作業や設備が必要となるため、工事費用が上乗せされる傾向にあります。
条件 | 影響 |
---|---|
建物が3階建て以上 | 足場の設置や安全対策にかかる費用が増加する可能性があります。 |
屋根の形状が複雑(寄棟屋根など) | 加工の手間や材料のロスが多くなり、施工コストが上がります。 |
周囲が狭く駐車スペースが少ない | 資材の搬入や足場の組み立てが難しくなり、作業効率が低下します。 |
住宅密集地や騒音に配慮が必要な場所 | 騒音・粉塵対策、作業時間の制限が必要になるため、工期や人件費が増加します。 |
このように、屋根の形状だけでなく、建物の高さや敷地条件、周辺環境といった要素も工事費用に大きく影響します。そのため、見積もりを依頼する際には、現地調査をしっかりと行ってもらい、状況に応じた正確な見積もりを確認することが重要です。
信頼できる業者であれば、現場の状況も丁寧に確認したうえで、無理のない予算と最適な施工プランを提案してくれるでしょう。
屋根カバー工法の費用シミュレーション

ここでは、代表的な3種類の屋根材を使ったケース別の費用シミュレーションを紹介します。
- ガルバリウム鋼板系屋根材を使用した場合
- ジンカリウム鋼板系屋根材を使用した場合
- アスファルトシングル系屋根材を使用した場合
※いずれも延床30坪(約100㎡)程度の住宅を想定。
※役物(オプション)は別途費用。
※足場・附帯工事費は含まれていません。
※屋根の勾配・形状・立地条件などにより価格は変動します。
ケース1.ガルバリウム鋼板系屋根材を使用
平米単価(目安) | 約5,000〜10,000円 |
---|---|
工事費用(約100㎡) | 約50万〜100万円 |
ガルバリウム鋼板は、最も一般的に使われている屋根材です。
アルミニウム・亜鉛・シリコンで構成された合成メッキ鋼板で、錆びにくく、耐久性に優れているのが大きな特徴です。
さらに、瓦屋根に比べて10分の1程度の軽さを誇り、屋根カバー工法でも建物への負担が少なく、耐震性への影響を最小限に抑えられます。
また、価格帯が比較的リーズナブルなのも魅力のひとつ。「軽くて丈夫」「コストパフォーマンスに優れている」という理由から、非常に人気の高い屋根材です。
なお、近年は「断熱材付き」のタイプも登場しており、夏の暑さや冬の寒さを緩和させたい方からもよく選ばれています。
ケース2.ジンカリウム鋼板系屋根材を使用
平米単価(目安) | 約8,000〜15,000円 |
---|---|
工事費用(約100㎡) | 約80万〜150万円 |
ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板の表面に天然石をコーティングした屋根材です。
基本性能はガルバリウム鋼板とほとんど変わりませんが、天然石の粒によって温かみや高級感のある外観に仕上がります。
そのため、機能性だけでなく、デザインにもこだわりたい方から高い人気を集めています。
ただし、表面の天然石は経年劣化によって剥がれ落ちてくる可能性があります。また、断熱材付きのガルバリウム鋼板と比較すると、断熱性がやや劣る点に注意が必要です。
それでも、高級感のある仕上がりは「リフォーム後の満足度」につながります。費用はやや高めですが、デザイン性と耐久性をバランスよく求める方におすすめです。
ケース3.アスファルトシングル系屋根材を使用
平米単価(目安) | 約5,000〜9,000円 |
---|---|
工事費用(約100㎡) | 約50万〜90万円 |
アスファルトシングル系屋根材は、アスファルトを主成分としたシート状の屋根材です。
シート状のため柔軟性が高く、複雑な屋根形状にも施工しやすいのが魅力です。
また、軽量で建物への負担が少ないため、既存の屋根に重ねて施工するカバー工法にも非常に適しています。
さらに、カラーバリエーションが豊富でデザイン性も高く、おしゃれな外観に仕上げたいという方にも人気です。
ただし、断熱効果は金属系屋根材に比べてやや劣るため、断熱性能を重視する場合は、別途断熱材の追加を検討する必要があります。
それでも、屋根の形状を問わず幅広く対応できるのは大きな魅力であり、「複雑な屋根形状でもカバー工法を依頼したい」という方にはおすすめの選択肢です。
屋根カバー工法のメリット

ここからは、屋根カバー工法を選ぶ5つのメリットを詳しく紹介します。
自宅のリフォームに適している工法なのかどうか、ぜひチェックしてみてください。
- 撤去作業が不要でリフォーム費用が安い
- 工事期間が短い
- 断熱性・遮音性・防水性が向上する
- 騒音やホコリのトラブルリスクが少ない
- アスベスト材が含まれる建物にも対応できる
撤去作業が不要でリフォーム費用が安い
屋根カバー工法の大きな魅力は、既存の屋根材を撤去する費用や手間がかからない点です。
葺き替え工事では、既存の屋根材をすべて取り外す必要があるため、以下のような追加費用が発生します。
- 撤去作業にかかる人件費
- 古い屋根材の処分費用
一方、屋根カバー工法ではこうした撤去作業が必要ありません。余計な人件費や廃材処分費がかからないため、工事全体の費用を大幅に抑えることが可能です。
初期費用をできるだけ抑えたい方にとっては、非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。
工事期間が短い
屋根カバー工法は、既存の屋根材を撤去する必要がないため、葺き替え工事に比べて短期間で屋根をリフォームできます。
工事期間が短いことで、以下のような生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
- 騒音や振動によるストレス
- 作業員の出入りによる心理的な負担
- 足場設置による敷地の使用制限
また、工事期間が短く済めば、それだけ人件費を抑えられます。よって、トータルの工事費削減にもつながるでしょう。
「できるだけ早く工事を終わらせたい」「短期間で屋根をリフレッシュしたい」と考えている方にとって、屋根カバー工法は非常に適した工法といえます。
断熱性・遮音性・防水性が向上する
屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで、屋根が「二重構造」になるのが大きな特徴です。
この二重構造により、以下のような効果が期待できます。
効果 | 詳細 |
---|---|
断熱性の向上 | 屋根と屋根の間に空気層ができ、外気の熱や冷気が室内に伝わりにくくなります。夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるため、冷暖房効率アップによる省エネ効果も期待できます。 |
遮音性の向上 | 二重になった屋根材がクッションの役割を果たします。雨音・風音・交通騒音を軽減し、静かで快適な室内環境を保ちやすくなります。 |
防水性の向上 | 新旧の屋根材で二重の防水層が形成されます。小さな劣化があっても雨漏りを防ぎやすくなるため、住宅全体の耐久性アップにもつながります。 |
上記のように、屋根カバー工法は見た目のリフレッシュだけでなく、住まいの機能性や快適性を向上させる効果があるのも大きな魅力です。
屋根カバー工法により、実質的に屋根の二重構造ができあがります。こうした特徴から、断熱・遮音・防水を目的として施工することも珍しくありません。
こうした効果を最大限に得たい場合は、事前に業者としっかり相談し、適切な屋根材や施工方法を選びましょう。
騒音やホコリのトラブルリスクが少ない
屋根カバー工法は、葺き替え工事のように既存の屋根を撤去する「解体作業」を行わないのも大きな魅力のひとつです。
屋根材を剥がす作業が不要なため、工事中の騒音やホコリの発生を最小限に抑えることができます。
特に、近隣住宅と距離が近い場合には、解体時の大きな音や舞い上がる粉塵によるトラブルに気をつけなければなりません。
たとえば、以下のようなトラブルは、葺き替え工事では起こりがちです。
- 騒音に強いストレスを感じた近隣住民からクレームを受ける
- 舞い上がったホコリや粉塵で、洗濯物や車が汚れてしまう
その点、カバー工法であれば比較的静かで、ホコリや粉塵の発生も少ないため、工事中の生活ストレスやご近所トラブルのリスクを抑えることができます。
ご近所との関係を大切にしたい方や、静かな環境を保ちたいご家庭にとって、カバー工法は安心して選べる工事方法といえるでしょう。
アスベスト材が含まれる建物にも対応できる
現在は使用が禁止されていますが、古い建物の屋根材には「アスベスト(石綿)」が含まれているケースがあります。
アスベストは、吸い込むことで肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こす危険性がある有害物質です。そのため、撤去や処分には専門資格を持った業者による厳重な管理と対応が義務付けられています。
こうした背景から「葺き替え工事」では、アスベストの飛散防止措置や特別な処理費用が必要となり、工事費用が大きく跳ね上がる傾向にあります。
その点「屋根カバー工法」であれば、アスベストを含む屋根材を撤去せずに済むため、飛散リスクを最小限に抑えることが可能です。
結果として、特殊な解体作業や高額な処分費用が不要となり、安全かつコストを抑えた屋根リフォームを実現できます。
ただし、屋根の劣化が著しい場合は、下地の補修や追加対応が必要なこともあります。
したがって、アスベスト含有の屋根にお住まいの方は、事前に経験豊富な業者による現地調査を受け、最適な施工方法を検討することが重要です。
屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法には多くのメリットがありますが、すべての住宅におすすめできる万能な工法というわけではありません。
ここでは、屋根カバー工法に潜む4つのデメリットを詳しく解説します。
- 火災保険が適用されない可能性が高い
- 屋根内部の傷や経年劣化を確認できない
- 瓦屋根に対応できない
- 耐震性に影響する恐れがある
火災保険が適用されない可能性が高い
自然災害(台風、雪害、落雷など)が原因で屋根が破損した場合、火災保険によって修理費用が補償されることがあります。
しかし、火災保険の対象となるのは、あくまで「原状回復」に限られています。修理前よりも良い状態にする工事には、保険金の支払いが認められないケースがほとんどです。
屋根カバー工法は、既存の屋根に新しい屋根材を重ねることで耐久性や性能を向上させる「改修工事」と見なされる傾向にあります。
そのため、たとえ自然災害による被害であったとしても、火災保険が適用されない可能性が高いのです。
屋根カバー工法を検討する際は、事前にご自身が加入する火災保険の補償内容をしっかりと確認し、必要に応じて保険会社へ相談しておくことをおすすめします。
屋根内部の傷や経年劣化を確認できない
屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せずに上から新しい屋根材を被せるため、屋根の下地や防水シートの状態を直接確認することができません。
そのため、もし屋根内部に深刻な劣化や腐食、雨漏り跡などがあっても、それを見逃したまま新しい屋根を被せてしまう可能性があります。
結果として、問題が隠れたまま進行してしまい、数年後に雨漏りや大規模な補修が必要になるリスクもあるのです。
こうしたリスクを避けるためにも、施工前の現地調査や診断を丁寧に行ってくれる業者に依頼することが重要です。
信頼できる業者であれば、可能な範囲で既存屋根の劣化状況をしっかりと見極め、カバー工法が本当に最適かどうかの判断を助けてくれるでしょう。
瓦屋根に対応できない
屋根カバー工法は、スレート屋根や金属屋根など、比較的平坦な屋根材に対応した工法です。
そのため、瓦屋根には基本的に対応できません。瓦屋根は一枚一枚が立体的な形状をしており、その上から新たな屋根材を重ねる工法には不向きです。
また、瓦自体が非常に重いため、そこへさらに屋根材を重ねると、建物への負担が大きくなるという問題もあります。
したがって、瓦屋根のリフォームを行う場合は、屋根材をすべて撤去して新しい屋根に張り替える「葺き替え工事」が基本的な選択肢になります。
瓦屋根の家にお住まいでリフォームを検討されている場合は、必ず専門業者に相談し、適切な工法を提案してもらいましょう。
耐震性に影響する恐れがある
既存の屋根材に新しい屋根材を重ねる屋根カバー工法は、屋根全体の総重量が増加してしまうという構造上のデメリットがあります。
屋根が重くなると、建物の重心が高くなり、地震による揺れ幅が大きくなる可能性があります。
特に、築年数が古く耐震性能が不十分な住宅では、地震の揺れによって構造的ダメージや倒壊リスクが高まる可能性も否定できません。
そのため、屋根カバー工法を検討する際は、必ず専門業者に建物の耐震診断や必要に応じた補強工事を行い、重量増加が建物に与える影響を事前に確認することが大切です。
最近では、ガルバリウム鋼板のような軽量屋根材も多く登場しているため、適切な材料を選ぶことで耐震リスクを最小限に抑えられます。
屋根カバー工法のビフォーアフター事例
ここでは、当社ヤネピカがこれまでに手がけた屋根カバー工法の施工事例を紹介します。
実際のビフォーアフター写真をご覧いただくことで、屋根カバー工法の効果や工事の流れがイメージしやすくなるはずです。
- 【屋根カバー工事】武蔵野市・S様邸
- 【屋根カバー工事】新宿区・K様邸
- 【屋根カバー工事】練馬区・Y様邸
事例1.【屋根カバー工事】武蔵野市/S様邸

東京都武蔵野市のS様邸では、既存の屋根に経年劣化とコケの繁殖が見られ「見た目をきれいにしたい」とのご相談をいただきました。
調査の結果、屋根の下地は良好な状態を保っていたため、撤去は行わず、ガルバリウム鋼板によるカバー工法をご提案・施工させていただきました。
施工ではまず、既存の屋根の上に合板を重ねて下地を補強し、その上から防水紙(ルーフィング)を施工。最終的に、軽量かつ耐久性に優れたガルバリウム鋼板スタンビーを取り付け、工事は完了しました。
施工後は、屋根全体がまるで新築のように生まれ変わり、お客様からは喜びの声をいただいております。
事例2.【屋根カバー工事】新宿区/K様邸

東京都新宿区のK様邸では「雨漏りがしてきたため屋根を修理したい」とのご相談をいただきました。
現地調査を行ったところ、既存の屋根は20〜30年前に施工された金属の瓦棒屋根で、錆びや穴あきなど傷みが著しい状態でした。
応急処置では対応できないため、屋根カバー工法による修繕を提案。幸いにも、下地の構造体に大きな腐食は見られなかったため、既存屋根の上から施工を実施しました。
まず、下地補強として合板と防水紙(ルーフィング)を設置したところ、雨漏りはすぐに解消。その後、軽量で高耐久のガルバリウム鋼板スタンビーを丁寧に取り付けて完了です。
お客様からは、「雨漏りが止まっただけでなく、屋根が見違えるほどきれいになった」と、大変ご満足いただけました。
事例3.【屋根カバー工事】練馬区/Y様邸

東京都練馬区のY様邸では、「玄関上の屋根が劣化して雨漏りがしてきた」とのご相談をいただきました。
現地調査を行ったところ、屋根には内樋(箱谷)と呼ばれる構造が採用されており、大雨の際に内樋がオーバーフロー(雨水が溢れ出る状態)を起こしていることが判明しました。
内樋構造は、雨樋が外から見えず外観はスッキリする一方で、詰まりやすく、雨水の逃げ場がなくなるのがデメリットです。
そこで今回は、既存の屋根と内樋部分をまとめてカバーする工法をご提案。雨水がスムーズに外部へ流れる構造に改善することで、屋根に雨水が溜まらなくなりました。
工事完了後は、雨漏りが解消されたことへの安心感はもちろん、新しいガルバリウム鋼板の美しい仕上がりにも大変ご満足いただけました。
屋根カバー工法を実施するときのチェックポイント

ここからは、屋根カバー工法を実施するときに確認しておきたい4つのチェックポイントを解説します。
事前にしっかり押さえておくことで、後悔のない屋根リフォームにつながります。
- 工事に使用する素材・施工方法は何を選ぶか
- 既存の屋根材に大きな劣化が見られないか
- 重量に耐えられる建物の構造か
- 予算をいくらまで抑えたいか
工事に使用する素材・施工方法は何を選ぶか
屋根カバー工法を行う際に、使用する屋根材や施工方法の選択は、仕上がりの品質や耐久性に大きく影響します。
屋根材には、主に以下のような種類があります。
屋根材 | 特徴 |
---|---|
ガルバリウム鋼板 | 軽量で耐久性が高く、最も一般的に使用されています。 |
ジンカリウム鋼板 | 表面に天然石がコーティングされており、デザインに高級感が生まれます。 |
アスファルトシングル | シート状で柔軟性があり、複雑な形状の屋根にも対応しやすいのが魅力です。 |
それぞれの屋根材には、特性や価格帯があるため、ご自身の希望と予算に合わせて選ぶことが重要です。
また、屋根材だけでなく、以下のような各種部材の品質や施工方法も、屋根全体の性能に大きく関係します。
部材 | 特徴 |
棟板金・棟下地 | 屋根の最上部に設置される仕上げ材とその下地となる補強材。雨水の侵入を防ぎ、屋根構造をしっかり固定します。 |
ルーフィング(防水シート) | 屋根材の下に敷く防水層。雨水の侵入を防ぎ、建物の耐久性を守ります。 |
ケミカル面戸 | 棟板金と屋根材の隙間を埋める樹脂素材。雨水や害虫の侵入を防ぎ、気密性を高める効果があります。 |
換気棟 | 屋根裏の湿気や熱を逃すための部材。結露やカビの発生を防ぎ、建物全体の耐久性を高めます。 |
ケラバ板金 | 屋根の側面に取り付ける金属部材。雨水の排水や外壁を紫外線から守る役割を果たします。 |
セットバックスターター | 屋根材の始点を整える部材。軒先からの雨漏りを防ぐ役割を果たします。 |
雪止め金具 | 屋根からの落雪を防ぐ金具。歩行者や車などへの落雪被害を防ぎます。 |
屋根本体を貼りつける留め具 | 屋根材を固定するための釘・ビス・クリップなど。強風時の飛散防止に重要な役割を果たします。 |
これらの部材が適切に使用されているかどうかで、屋根カバー工法の仕上がり精度や寿命が大きく変わってきます。
業者によって使う資材や工法が異なるため、複数社から見積もりを取り、各部材の仕様や施工内容についてしっかり説明を受けることが大切です。
既存の屋根材に大きな劣化が見られないか
屋根カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる施工方法です。
シンプルな工事でコストを抑えやすいのは魅力ですが、これは既存の屋根材や下地が健全であることが大前提となります。
もし、以下のような深刻な劣化や損傷が見られる場合は、屋根カバー工法が適さない可能性があるため注意が必要です。
症状 | 懸念されるリスク |
---|---|
屋根の下地が腐っている | 屋根の強度が不足していることから、新しい屋根材の重みを支えられない可能性があります。 |
雨漏り跡やシミがある | すでに内部で水分が回っており、放置すると建物全体の腐食につながる可能性があります。 |
このような状態で屋根カバー工法を行った場合、表面はきれいになっても、内部の問題は隠されたままになってしまいます。
その結果、数年もしないうちに再び雨漏りが発生したり、大規模な補修工事が必要になったりする可能性があります。費用を抑えて工事を行ったつもりでも、結果的に二重の出費となるケースは少なくありません。
そのため、屋根カバー工法を検討する際は、工事前に屋根全体の状態をしっかり調査してもらうことが非常に重要です。
信頼できる業者であれば、屋根材や下地の劣化状況を丁寧に確認し、必要に応じて部分的な補修や葺き替えを行うなど、より適切な施工方法を提案してくれるでしょう。
「屋根を重ねるだけで本当に大丈夫か?」という視点を持ち、現状に合った判断を行うことが、後悔しない屋根リフォームにつながります。
重量に耐えられる建物の構造か
屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新たな屋根材を重ねるため、どうしても屋根全体の重量が増加してしまいます。
そのため、以下のような建物は注意が必要です。
状態 | 懸念されるリスク |
---|---|
築年数が30年以上経過している | 建物の構造が老朽化しており、新しい屋根材の重みに耐えられない可能性があります。 |
瓦屋根など重い屋根材を使っている | さらに屋根材を重ねることで、建物全体の耐震性に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
地盤が緩い・傾斜地に建っている | 建物全体のバランスが不安定になりやすいため、地震の揺れが増大する可能性があります。 |
このようなリスクを避けるためにも、事前に建物の構造が追加の重量に耐えられるかどうかをしっかり確認することが大切です。
信頼できる業者に依頼すれば、構造チェックや耐震診断を行い、必要に応じて補強工事の提案を受けられます。
「ただ重ねるだけ」ではなく「建物全体のバランスを考慮した屋根工事」を意識することが、安全で長持ちする屋根リフォームのポイントです。
予算をいくらまで抑えたいか
屋根カバー工法は、葺き替え工事よりも費用を抑えやすいのが大きな魅力です。
しかし、それでも屋根材の種類や建物の状態、そして依頼する業者などによって費用は大きく変動します。
そのため、まずは「どこまで予算をかけられるか」を明確にすることが大切です。予算の上限を定めておけば、無理のない範囲で最適な工事プランを検討しやすくなります。
また、複数の業者から相見積もりを取ることも大切なポイントです。金額だけでなく、見積書のわかりやすさ・担当者の対応・提案内容まで含めて比較検討しましょう。
「価格」「品質」「信頼性」のバランスを見極めることで、納得感のあるリフォームを実現できます。
満足のいく屋根カバー工法ならヤネピカ

もし、これから屋根カバー工法を検討されているのなら、ぜひ私たち「ヤネピカ」にご相談ください。
ヤネピカは、屋根の修繕・リフォームに特化した専門会社として、これまで多くのお客様からご依頼をいただきました。
【ヤネピカの実績】
- 業界歴35年以上
- 施工実績4,800件以上
- お客様評価4.8(5点満点)を獲得
私たちは、ただ屋根を直すのではなく「お客様に寄り添った提案で満足のいく屋根リフォーム」を最優先に考えています。
屋根カバー工法においても、自社の担当者が屋根の状態を丁寧に調査し、その結果に基づいて工事内容や費用のお見積もりを提示させていただきます。
「初めての屋根工事で不安……」という方でも、専門のプロスタッフがわかりやすくご説明し、納得いただいたうえで工事を進行いたします。
無料相談・無料見積もりも随時受け付けていますので、屋根のことで少しでも気になる点があれば、お気軽にヤネピカへお問い合わせください。
まとめ:屋根カバー工法の費用は屋根材や工事方法で大きく変わる

屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せずに工事を進めるため、費用を抑えやすく、工期も短く済むのが大きな魅力です。
ただし、実際にかかる費用は「使用する屋根材の種類」「施工方法」「建物の状態」「依頼する業者」によって大きく異なります。
また、屋根の劣化具合や建物の耐震性によっては、屋根カバー工法が適さないケースもあります。しっかり確認せずに工事を進めると、後から追加の補修が必要になり、かえって費用がかさむリスクがあり注意が必要です。
そのため、施工前には必ず現地調査を丁寧に行い、実績のある業者と相談しながら工事プランを立てることが重要です。
コスト・耐久性・デザイン性のバランスを意識し、あなたの住まいにとって最適な屋根リフォームを選びましょう。